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◆ retard()
| void retard |
( |
int |
n, |
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void(*)(int, double, double *, double *, double *, int *) |
f, |
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double * |
t, |
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double |
y[], |
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double |
tout, |
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double * |
rtol, |
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double * |
atol, |
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int |
itol, |
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void(*)(int, double, double, double *, int, double *, int *, int *) |
solout, |
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int |
iout, |
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double |
work[], |
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int |
lwork, |
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int |
iwork[], |
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int |
liwork, |
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double |
rcont[], |
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int |
lrcont, |
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int |
icont[], |
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int |
licont, |
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|
int * |
info |
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) |
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遅延微分方程式の数値解 (5(4)次 ドルマン・プリンス法)
注 - 本ルーチンは次バージョンで廃止予定です.
- 目的
- 本ルーチンは1階の遅延微分方程式の初期値問題
dy/dt = f(t, y(t), y(t-τ), ...), ただし t = t0 において y = y0
の解を求める. ただし, t0およびy0は既知でそれぞれtおよびyの初期値である. 上の方程式が連立微分方程式であれば, yはベクトルで表される.
retardは5(4)次ドルマン・プリンス法に基づく陽的ルンゲ・クッタ法のプログラムである. ステップ制御アルゴリズムと密出力機能を持っている.
詳細については下記参考文献を参照せよ.
- 引数
-
| [in] | n | 微分方程式の数. (n >= 1) |
| [in] | f | 微分方程式の値を求めるユーザー定義サブルーチンで, 次のように定義すること. void f(int n, double t, const double y[], double yp[], double rcont[], int icont[])
{
yp[i] = tおよびy[]における微分係数の計算値 (i = 0 〜 n-1)
}
ただし, nは方程式の数, yp[]は与えられたtおよびy[]における微分係数, すなわち, yp[i] = dyi/dt = fi(t, y(t), y(t-τ), ...) (i = 0 〜 n-1).
y(t-τ)は次の関数呼び出しにより求めることができる. y_delayed[i] = ylag(i, t-τ, phi, rcont, icont);
double ylag(int ii, double x, double(*phi)(int, double), double cont[], int icomp[]) Definition ylag.c:25
ただし, iは要素番号(0〜n-1). rcont および icont は変更せずに渡さなければならない. phiは, 区間[t0-τ, t0]における解を返す関数である. ただし, t0は初期値である. phiは次のように定義すること. double phi(int i, double t)
{
return t(t0-τ <= t <= t0)における要素 i の値 (0 <= i <= n-1)
}
|
| [in,out] | t | 本ルーチンはtからtoutまでの積分を行う. 積分を開始する点を与え, 最終ステップの最後の点が返される.
[in] 独立変数 t の初期値.
[out] ステップ終了時の最終値(通常toutに等しい). 解がこの点まで正常に求められたことを示す. 新たなtoutで再呼び出しすることにより, 新たな点まで積分を継続することができる. |
| [in,out] | y[] | 配列 y[ly] (ly >= n)
[in] tの初期値における従属変数y[]の初期値.
[out] 最終のt(通常toutに等しい)において求められた解(の近似値). |
| [in] | tout | 解を求めたい点を設定する. 積分を行うのはtについて前進方向(tout > t)でなければならない.
要求精度を満たすように自動的に選ばれたステップ幅を用いてtからtoutに向かって解が求められる. |
| [in] | rtol | スカラー(itol = 0 の場合) または 配列 rtol[lrtol] (itol = 1 の場合) (lrtol >= n) (rtolまたはrtol[i] >= 0)
相対誤差許容値. y[i]の局所誤差がおおむね次式以下になるようにする.
rtol*abs(y[i]) + atol (i = 0〜n-1) (itol = 0 の場合)
または
rtol[i]*abs(y[i]) + atol[i] (i = 0〜n-1) (itol = 1 の場合).
rtolとatol, または, rtol[i]とatol[i] (i = 0〜n-1) が同時に0になってはいけない. |
| [in] | atol | スカラー(itol = 0 の場合) または 配列 atol[latol] (itol = 1 の場合) (latol >= n) (atolまたはatol[i] >= 0)
絶対誤差許容値. y[i]の局所誤差がおおむね次式以下になるようにする.
rtol*abs(y[i]) + atol (i = 0〜n-1) (itol = 0 の場合)
または
rtol[i]*abs(y[i]) + atol[i] (i = 0〜n-1) (itol = 1 の場合).
rtolとatol, または, rtol[i]とatol[i] (i = 0〜n-1) が同時に0になってはいけない. |
| [in] | itol | rtolおよびatolがスカラーか配列かを指定する.
= 0: rtol および atolはスカラー.
= 1: rtol および atolは配列.
(他の値であれば itol = 0 とみなす.) |
| [in] | solout | 中間結果を出力するユーザー定義サブルーチンで, ステップが成功するごとに呼び出される. 次のように定義すること. void solout(int nr, double told, double t, double y[], int n, double rcont[], int icont[], int *irtrn)
{
nr番目のステップtでのy[]の値が渡されるのでこれを出力する. toldは前回のtの値, nは方程式の次数である.
irtrnの入力値は, 初回, 中間, または, 最終呼び出しのとき, それぞれ 0, 1 または 2である. irtrnを使用して積分を中断することもできる. soloutでirtrnを負の値に設定すると積分を中断して info = 2 で終了する.
iout = 1 の場合には, 制御情報rcont[]およびicpomp[]により密出力を行うことができる. t以前の任意の点での解y[i] (0 <= i <= n-1)をylag()を呼び出すことにより求めることができる. f()の説明を参照せよ.
}
|
| [in] | iout | soloutの呼び出し指定.
= 0: soloutの呼び出しを行わない
= 1: 密出力のためにsoloutの呼び出しを行う. この場合, iwork[7]に密出力を行う要素数(nrdens)を設定しなければならない.
(他の値であれば iout = 0 とみなす.) |
| [in,out] | work[] | 配列 work[lwork]
作業領域.
work[0]〜work[19]はプログラムのためのパラメータ領域として使用される. 入力パラメータを0に設定すると, パラメータ値としてはそれぞれのデフォルト値を使用する.
[in]
work[0]: ステップ幅の初期値 (デフォルト値 = プログラムにより自動推定される)
work[1]: ステップ幅の最大値 (デフォルト値 = tout - t)
work[3] および work[4]: ステップ幅選択パラメータ. work[3] <= hnew/hold <= work[4] となるようにステップ幅が選ばれる. (デフォルト値: work[3] = 0.2, work[4] = 10)
work[7]: ステップ幅推定時の安全係数 (0.0001 < work[7] < 1). work[7] <= 0.0001 または work[7] >= 1 であればデフォルト値を使用する. (デフォルト値 = 0.9)
work[8]: ステップ幅制御の安定化のためのパラメータβ (work[8] <= 0.2). work[8] < 0であればβは0に設定される. (デフォルト値 = 0.04)
work[20], ..., work[20 + ngrid - 1]: 積分の際にグリッド点とみなすべき点を指定する (t < work[20] < ... < work[20 + ngrid - 1] = tout).
[out]
work[0]: 最後に使用されたステップ幅 |
| [in] | lwork | 配列 work[]のサイズ. (lwork >= 10*n + ngrid + 20 (ngrid: iwork[5]を参照))
lwork < 0 であれば abs(lwork) を使用し, work[0]〜work[19]を 0 に初期化する. |
| [in,out] | iwork[] | 配列 iwork[liwork]
作業領域.
iwork[0]〜iwork[19]はプログラムのためのパラメータ領域として使用される. 入力パラメータを0に設定すると, パラメータ値としてはそれぞれのデフォルト値を使用する.
[in]
iwork[1]: 許される最大ステップ数. (デフォルト値 = 100000) (iwork[1] < 0 の場合, デフォルト値を使用する)
iwork[3]: iwork[3]回のステップごとにスティフ性のテストを行う. iwork[3]が負の値であればテストは行わない. (デフォルト値 = 1000)
iwork[5]: ngrid = グリッド点の数. (デフォルト値 = 1)
積分区間中に解の導関数の不連続点(グリッド点)がある場合, それを指定しておくと計算精度および効率を改善することができる.
iwork[5] <= 0 であれば, ngrid = 1 とみなす.
iwork[5] > 0 であれば, work[20], ..., work[20 + ngrid - 1] を設定しておかなければならない.
最後の点 work[20 + ngrid - 1] = tout でなければならない(iwork[5] = 0 のときには自動的に設定される).
iwork[7]: nrdens = 密出力を行う要素数(fおよびsoloutで使用). iwork[7] < 0 であれば, nrdens = abs(iwork[7]) とする. (デフォルト値 = n)
0 < nrdens < n の場合, icont[]を設定しなければならない(下記参照).
iwork[12]: iwork[13]〜iwork[17]をリセットするタイミングを指定する.
= 0: 本ルーチンが呼び出されるたびにリセットする.
!= 0: info = 0 のときにリセットする.
[out]
iwork[13]: nfcn = 関数評価回数
iwork[15]: nstep = ステップの計算回数
iwork[16]: naccept = 採用されたステップ数
iwork[17]: nreject = 不採用だったステップ数 (誤差評価の結果による) (最初のステップの不採用はカウントされない) |
| [in] | liwork | 配列 iwork[]のサイズ. (liwork >= 20)
liwork < 0 であれば abs(liwork) を使用し, iwork[0]〜iwork[19]を 0 に初期化する. |
| [out] | rcont[] | 配列 rcont[lrcont]
y(t-τ)の計算および密出力の制御情報のための領域. |
| [in] | lrcont | 配列 rcont[]のサイズ. (lrcont >= mxst*(5*nrdens + 2) (nrdens: iwork[7]を参照, mxst: 記録する(ylagによりさかのぼることができる)ステップ数)) |
| [in,out] | icont[] | 配列 icont[licont]
y(t-τ)の計算または密出力を行う要素番号のリスト.
nrdens = n または iwork[7] < 0 の場合, 自動的に 1, ..., nrdens と設定される.
0 < nrdens < n の場合, 密出力を行う要素番号を設定しておかなければならない.
nrdensについてはiwork[7]を参照せよ. |
| [in] | licont | 配列 icont[]のサイズ. (licont >= nrdens (nrdens: iwork[7]を参照)) |
| [in,out] | info | [in]
= 0: 初期化して計算を開始する(新たな問題を解く).
= 1: toutだけを変えて計算を続ける(前回呼び出しの計算を再開する). ngrid = 1 のときにのみ使用可能.
[out]
= -1: 入力パラメータ n の誤り (n < 1)
= -6: 入力パラメータ rtol の誤り (rtol < 0 または rtol[i] < 0)
= -6: 入力パラメータ rtol または atol の誤り (rtol = 0 かつ atol = 0, または rtol[i] = 0 かつ atol[i] = 0)
= -7: 入力パラメータ atol の誤り (atol < 0 または atol[i] < 0)
= -11: 入力パラメータ work[20 + i - 1] の誤り (昇順でない)
= -12: 入力パラメータ lwork の誤り (lworkが小さすぎる)
= -14: 入力パラメータ liwork の誤り (liworkが小さすぎる)
= -16: 入力パラメータ lrcont の誤り (lrcontが小さすぎる)
= -18: 入力パラメータ licont の誤り (licontが小さすぎる)
= -19: 入力パラメータ info の誤り (info != 0 かつ info != 1)
= 1: 正常終了
= 2: soloutによる中断 (正常終了)
= 11: 最大ステップ数を超えた
= 12: ステップサイズが小さくなり過ぎた
= 13: スティフな問題の可能性がある (中断された)
= 14: ylagにより中断された (mxstが小さすぎるなどの原因が考えられる) |
- 出典
- E. Hairer, S.P. Norsett and G. Wanner, "Solving Ordinary Differential Equations. Nonstiff Problems. 2nd edition", Springer Series in Computational Mathematics, Springer-Verlag (1993)
邦訳: 「常微分方程式の数値解法Ⅰ 基礎編」スプリンガージャパン (2007)
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