XLPack 6.1
Excel VBA 数値計算ライブラリ・リファレンスマニュアル
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◆ Zposvx()

Sub Zposvx ( Fact As  String,
Uplo As  String,
N As  Long,
A() As  Complex,
Af() As  Complex,
Equed As  String,
S() As  Double,
B() As  Complex,
X() As  Complex,
RCond As  Double,
FErr() As  Double,
BErr() As  Double,
Info As  Long,
Optional Nrhs As  Long = 1 
)

(エキスパートドライバ) 連立一次方程式 AX = B の解 (正定値エルミート行列)

目的
本ルーチンはコレスキー分解 A = U^H*U または A = L*L^H を用いて次の複素連立一次方程式を解く.
A * X = B
ここで, Aはn×n正定値エルミート行列, また, XおよびBはn×nrhs行列である.
解の誤差限界および推定条件数も求められる.
解説
以下の手順で計算が行われる.

  1. Fact = "E"の場合, 連立方程式を均衡化するために次のような実数のスケーリング係数を求める.
    diag(S) * A * diag(S) * inv(diag(S)) * X = diag(S) * B
    均衡化を行うかどうかは行列Aのスケールに依存するが, 均衡化が行われた場合にはAはdiag(S)*A*diag(S)により, Bはdiag(S)*Bにより上書きされる.

  2. Fact = "N"または"E"であれば, コレスキー分解によりAを(Fact = "E"であれば, 均衡化の後で)次のように分解する.
    A = U^H * U (Uplo = "U"の場合)
    A = L * L^H (Uplo = "L"の場合)
    ここで, Uは上三角行列, Lは下三角行列である.

  3. 係数行列のi×i首座小行列が正定値でない場合, Info = iを返す. そうでない場合, 分解されたAを用いて行列Aの条件数を推定する. 条件数の逆数がマシンイプシロンより小さければ警告としてInfo = n+1を返すが, 引き続き下記のように解Xを求め誤差限界を計算する.

  4. Aの分解形を用いて連立方程式を解きXを求める.

  5. 計算された解行列に反復改良を適用して精度向上を図り, その誤差限界および後退誤差推定値を計算する.

  6. 均衡化が行われた場合, 均衡化前の元の連立方程式の解を求めるために, 行列Xに左からdiag(S)を乗ずる.
引数
[in]Fact行列Aの分解形を入力するかどうかを指定. 入力しない場合, 行列Aを分解前に均衡化するかどうかを指定する.
= "F": Af()にAの分解形を入力する. Equed = "Y"の場合, S()に与えられたスケーリング係数で行列Aが均衡化済であることを示す. A()およびAf()は変更されない.
= "N": 行列AをAf()にコピーしてから分解する.
= "E": 行列Aを必要に応じて均衡化し, 次にAf()にコピーしてから分解する.
[in]Uplo= "U": Aの上三角部分を格納.
= "L": Aの下三角部分を格納.
[in]N連立方程式の数, すなわち, 行列Aの行および列数. (N >= 0) (N = 0 の場合, 処理を行わずに戻る)
[in,out]A()配列 A(LA1 - 1, LA2 - 1) (LA1 >= N, LA2 >= N)
[in] N×N正定値エルミート行列 A. ただし, Fact = "F"かつEqued = "Y"の場合, A()は均衡化された行列 diag(S)*A*diag(S) であること. Uploに従い上三角部分あるいは下三角部分が参照される.
[out] Fact = "E"かつEqued = "Y"の場合, A()は diag(S)*A*diag(S) で上書きされる. その他の場合, A()は変更されない.
[in,out]Af()配列 Af(LAf1 - 1, LAf2 - 1) (LAf1 >= N, LAf2 >= N)
[in] Fact = "F"の場合, コレスキー分解 A = U^H*U または A = L*L^H の三角行列UまたはLをA()と同様にUploに従い入力する. ただし, Equed = "Y"の場合, Af()は均衡化された行列 diag(S)*A*diag(S) の分解形であること.
[out] Fact = "N"の場合, 行列Aのコレスキー分解 A = U^H*U または A = L*L^H の三角行列UまたはLをAf()に返す.
  Fact = "E"の場合, 均衡化された行列Aのコレスキー分解 A = U^H*U または A = L*L^H の三角行列UまたはLをAf()に返す(均衡化された行列の形についてはA()の説明を参照せよ).
[in,out]Equed均衡化の形式の指定.
= "N": 均衡化なし.
= "Y": 均衡化あり. すなわち, Aはdiag(S)*A*diag(S)で置き換えられる.
[in] Fact = "F"の場合, 入力する行列Aの均衡化の有無.
[out] Fact = "E"の場合, 均衡化の結果を返す. Fact = "N"の場合, 常に"N"を返す.
[in,out]S()配列 S(LS - 1) (LS >= N)
Aのスケール係数. Fact = "N"の場合, S()はアクセスされない.
[in] Fact = "F"の場合, 入力された行列Aのスケール係数. (各要素 > 0)
[out] Fact = "E"の場合, 均衡化結果のスケール係数.
[in,out]B()配列 B(LB1 - 1, LB2 - 1) (LB1 >= max(1, N), LB2 >= Nrhs) (2次元配列) または B(LB - 1) (LB >= max(1, N), Nrhs = 1) (1次元配列)
[in] N×Nrhs右辺行列 B.
[out] Equed = "N"の場合, B()は変更されない. Equed = "Y"の場合, diag(S)*B で上書きされる.
[out]X()配列 X(LX1 - 1, LX2 - 1) (LX1 >= max(1, N), LX2 >= Nrhs) (2次元配列) または X(LX - 1) (LX >= max(1, N), Nrhs = 1) (1次元配列)
Info = 0またはInfo = N+1の場合, 元の連立方程式のN×Nrhs解行列Xを返す. Equed = "Y"の場合, A()およびB()は変更され, 均衡化後の連立方程式の解は inv(diag(S))*X となる.
[out]RCond(均衡化した場合には均衡化後の)行列Aの(1/条件数)の推定値. RCondがマシンイプシロンより小さければ(特に RCond = 0 であれば), 実用精度において行列は特異である. これは Info > 0 を返すことにより通知される.
[out]FErr()配列 FErr(LFErr - 1) (LFErr >= Nrhs)
各解ベクトルX(j)(解行列Xの第j列)の前進誤差限界. X(j)に対応する真の解をXtrueとするとき, FErr(j-1)は, (X(j) - Xtrue)の要素の最大絶対値をX(j)の要素の最大絶対値で割った値の上限の推定値である. この推定値はRCondの推定値と同程度の信頼性があり, ほぼ常に真の誤差よりも大きめに推定される.
[out]BErr()配列 BErr(LBErr - 1) (LBErr >= Nrhs)
各解ベクトルX(j)の要素に関する後退相対誤差. (すなわち, X(j)を真の解にするためのAまたはBの任意の要素の相対変化の最小値)
[out]Info= 0: 正常終了.
= -1: パラメータ Fact の誤り. (Fact <> "F", "N"および"E")
= -2: パラメータ Uplo の誤り. (Uplo <> "U"および"L")
= -3: パラメータ N の誤り. (N < 0)
= -4: パラメータ A() の誤り.
= -5: パラメータ Af() の誤り.
= -6: パラメータ Equed の誤り. (Fact = "F" かつ Equed <> "N"および"Y")
= -7: パラメータ S() の誤り. (S(i) <= 0 (Fact = "F" かつ Equed = "Y"のときに))
= -8: パラメータ B() の誤り.
= -9: パラメータ X() の誤り.
= -11: パラメータ FErr() の誤り.
= -12: パラメータ BErr() の誤り.
= -14: パラメータ Nrhs の誤り. (Nrhs < 0)
= i (0 < i <= N): Aのi×i首座小行列が正定値でないため分解を完了できなかった. 解は計算されなかった. RCond = 0 を返す.
= N+1: Uは非特異であるが, RCondがマシンイプシロンより小さく, これは実用精度において行列が特異であることを意味する. しかしながら, RCondの値が示すよりも計算値の精度が良いことがあるため, 解と誤差限界は計算される.
[in]Nrhs(省略可)
右辺の数, すなわち, 行列Bの列数. (Nrhs >= 0) (Nrhs = 0 の場合, 処理を行わずに戻る) (省略時 = 1)
出典
LAPACK
使用例
連立一次方程式 Ax = B を解き, 同時にAの条件数の逆数の推定値(RCond)を求める. ただし,
( 2.20 -0.11+0.93i 0.81-0.37i )
A = ( -0.11-0.93i 2.32 -0.80+0.92i )
( 0.81+0.37i -0.80-0.92i 2.29 )
( 1.5980+1.4644i )
B = ( 1.3498+1.4398i )
( 2.0561-0.5441i )
とする.
Sub Ex_Zposvx()
Const N = 3
Dim A(N - 1, N - 1) As Complex, Af(N - 1, N - 1) As Complex
Dim B(N - 1) As Complex, X(N - 1) As Complex
Dim S(N - 1) As Double, Equed As String
Dim FErr(0) As Double, BErr(0) As Double
Dim RCond As Double, Info As Long
A(0, 0) = Cmplx(2.2, 0)
A(1, 0) = Cmplx(-0.11, -0.93): A(1, 1) = Cmplx(2.32, 0)
A(2, 0) = Cmplx(0.81, 0.37): A(2, 1) = Cmplx(-0.8, -0.92): A(2, 2) = Cmplx(2.29, 0)
B(0) = Cmplx(1.598, 1.4644): B(1) = Cmplx(1.3498, 1.4398): B(2) = Cmplx(2.0561, -0.5441)
Call Zposvx("N", "L", N, A(), Af(), Equed, S(), B(), X(), RCond, FErr(), BErr(), Info)
Debug.Print "X =",
Debug.Print Creal(X(0)), Cimag(X(0)), Creal(X(1)), Cimag(X(1)), Creal(X(2)), Cimag(X(2))
Debug.Print "RCond =", RCond, "Equed = ", Equed
Debug.Print "Info =", Info
End Sub
実行結果
X = 0.86 0.64 0.51 0.71 0.59 -0.15
RCond = 8.85790434328042E-02 Equed = N
Info = 0