XLPack 7.0
XLPack 数値計算ライブラリ (C API) リファレンスマニュアル
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一致する文字列を見つけられません

◆ zhesvx()

void zhesvx ( char  fact,
char  uplo,
int  n,
int  nrhs,
int  lda,
doublecomplex  a[],
int  ldaf,
doublecomplex  af[],
int  ipiv[],
int  ldb,
doublecomplex  b[],
int  ldx,
doublecomplex  x[],
double *  rcond,
double  ferr[],
double  berr[],
doublecomplex  work[],
int  lwork,
double  rwork[],
int *  info 
)

(エキスパートドライバ) 連立一次方程式 AX = B の解 (エルミート行列)

目的
本ルーチンは対角ピボット分解を用いて次の複素連立一次方程式を解く.
A * X = B
ここで, Aはn×nエルミート行列, また, XおよびBはn×nrhs行列である.
解の誤差限界および推定条件数も求められる.
解説
以下の手順で計算が行われる.

  1. fact = 'N'の場合, 対角ピボット法を用いてAを分解する. 分解は次の形式である.
    A = U * D * U^H (uplo = 'U'の場合)
    A = L * D * L^H (uplo = 'L'の場合)
    ここで, U(またはL)は置換行列と対角要素が1の上(または下)三角行列の積, そして, Dは1×1または2×2対角ブロックよりなる対称なブロック対角行列である.
  2. Dのある第i対角要素が0であればDは特異であり, info = iで戻る. そうでなければ, 行列Aの分解形を用いて条件数を推定する. 条件数の逆数がマシンイプシロンより小さければ警告としてinfo = n+1を返すが, 引き続き下記のように解Xを求め誤差限界を計算する.
  3. Aの分解形を用いて連立方程式を解きXを求める.
  4. 計算された解行列に反復改良を適用して精度向上を図り, その誤差限界および後退誤差推定値を計算する.
引数
[in]fact行列Aの分解形を入力するかどうかを指定.
= 'F': af[][]とipiv[]にAの分解形を入力する. af[][]とipiv[]は変更されない.
= 'N': a[][]をaf[][]にコピーしてから分解する.
[in]uplo= 'U': Aの上三角部分を格納.
= 'L': Aの下三角部分を格納.
[in]n連立方程式の数, すなわち, 行列Aの行および列数. (n >= 0) (n = 0 の場合, 処理を行わずに戻る)
[in]nrhs右辺の数, すなわち, 行列BおよびXの列数. (nrhs >= 0) (nrhs = 0 の場合, 処理を行わずに戻る)
[in]lda二次元配列a[][]の整合寸法. (lda >= max(1, n))
[in]a[][]配列 a[la][lda] (la >= n)
n×nエルミート行列 A. uploに従い上三角部分あるいは下三角部分が参照される.
[in]ldaf二次元配列af[][]の整合寸法. (ldaf >= max(1, n))
[in,out]af[][]配列 af[laf][ldaf] (laf >= n)
[in] fact = 'F'の場合, zhetrfにより求められた, 分解 A = U*D*U^H または A = L*D*L^H よりUまたはLを得るために使われるブロック対角行列Dおよび乗数.
[out] fact = 'N'の場合, 分解 A = U*D*U^H または A = L*D*L^H よりUまたはLを得るために使われるブロック対角行列Dおよび乗数.
[in,out]ipiv[]配列 ipiv[lipiv] (lipiv >= n)
[in] fact = 'F'の場合, zhetrfにより求められた行および列の交換とDのブロック構造の情報を入力する.
  ipiv[k-1] > 0であれば, 第k行および列が第ipiv[k-1]行および列と交換され, Dの第k対角が1×1対角ブロックであることを表す.
  uplo = 'U'でipiv[k-1] = ipiv[k-2] < 0であれば, 第k-1行および列が第-ipiv[k-1]行および列と交換され, Dの第k-1対角が2×2対角ブロックであることを表す.
  uplo = 'L'でipiv[k-1] = ipiv[k] < 0であれば, 第k+1行および列が第-ipiv[k-1]行および列と交換され, Dの第k対角が2×2対角ブロックであることを表す.
[out] fact = 'N'の場合, zhetrfにより求められた行および列の交換とDのブロック構造の情報を返す.
[in]ldb二次元配列b[][]の整合寸法. (ldb >= max(1, n))
[in]b[][]配列 b[lb][ldb] (lb >= nrhs)
n×nrhs右辺行列 B.
[in]ldx二次元配列x[][]の整合寸法. (ldx >= max(1, n))
[out]x[][]配列 x[lx][ldx] (lx >= nrhs)
info = 0 または info = n+1 の場合, n×nrhs解行列 X.
[out]rcond行列Aの(1/条件数)の推定値. rcondがマシンイプシロンより小さければ(特に rcond = 0 であれば), 実用精度において行列は特異である. これは info > 0 を返すことにより通知される.
[out]ferr[]配列 ferr[lferr] (lferr >= nrhs)
各解ベクトルX(j)(解行列Xの第j列)の前進誤差限界. X(j)に対応する真の解をXtrueとするとき, ferr[j-1]は, (X(j) - Xtrue)の要素の最大絶対値をX(j)の要素の最大絶対値で割った値の上限の推定値である. この推定値はrcondの推定値と同程度の信頼性があり, ほぼ常に真の誤差よりも大きめに推定される.
[out]berr[]配列 berr[lberr] (lberr >= nrhs)
各解ベクトルX(j)の要素に関する後退相対誤差. (すなわち, X(j)を真の解にするためのAまたはBの任意の要素の相対変化の最小値)
[out]work[]配列 work[lwork]
作業領域
info = 0 であれば work[0] にlworkの最適値を返す.
[in]lwork配列 work[]のサイズ (lwork >= max(1, 2*n))
最大パフォーマンスのためには, fact = 'N' の場合, lwork >= max(1, 2*n, n*nb) とせよ. ただし, nbはzhetrfのための最適ブロックサイズである.
lwork = -1 の場合, 作業領域サイズの問い合わせとみなし, 最適サイズを求める計算だけを行い, work[0]にその値を返す.
[out]rwork[]配列 rwork[lrwork] (lrwork >= n)
作業領域.
[out]info= 0: 正常終了
= -1: 入力パラメータ fact の誤り (fact != 'F'および'N')
= -2: 入力パラメータ uplo の誤り (uplo != 'U'および'L')
= -3: 入力パラメータ n の誤り (n < 0)
= -4: 入力パラメータ nrhs の誤り (nrhs < 0)
= -5: 入力パラメータ lda の誤り (lda < max(1, n))
= -7: 入力パラメータ ldaf の誤り (ldaf < max(1, n))
= -10: 入力パラメータ ldb の誤り (ldb < max(1, n))
= -12: 入力パラメータ ldx の誤り (ldx < max(1, n))
= -18: 入力パラメータ lwork の誤り (lworkが小さすぎる)
= i (0 < i <= n): Dのi番目の要素が0である. 分解は完了したが, Dが特異であり, 解と誤差限界は計算できなかった. rcond = 0 を返す.
= n+1: Dは非特異であるが, rcondがマシンイプシロンより小さく, これは実用精度において行列が特異であることを意味する. しかしながら, rcondの値が示すよりも計算値の精度が良いことがよくあるため, 解と誤差限界は計算される.
出典
LAPACK